いきものログ

ヒヌマイトトンボ

節足動物門   昆虫綱   トンボ目   イトトンボ科
ヒヌマイトトンボ Mortonagrion hirosei
分布
本州(宮城県以南)・大分県・長崎県(対馬)
台湾・香港
ランク
絶滅危惧IB類(EN)
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 ヒヌマイトトンボはトンボの中では小型のイトトンボの仲間です。発見は日本産のトンボ類の中ではもっとも新しく、1971年に発見され、翌1972年に新種として発表されて人びとを驚かせました。名前は最初に発見された茨城県水戸市近郊の汽水湖、涸沼(ヒヌマ)にちなみます。その後、研究が進み、現在では宮城県から大分県及び長崎県の対馬で記録されています。
 大きさは30mm前後と小型で細長く、オスは全体に黒色で、胸には緑色の斑点を4個備えています。若いメスは全体に赤褐色ですが、成熟してくると暗褐色に、腹部は濃褐色に変化してきます。
 生息地は他のトンボとは非常に異なっていて、塩分を含んだ沿岸の河口域や、海岸の低湿地帯です。例外的に、平野部の河川のやや上流部でも生息が確認されています。成虫は年1回発生と考えられますが、ふつう生息地では個体数が多く5月末~9月末の長期にわたって見ることができます。密生したヨシ原の中に生息し、なかなか外部に出ないので、発見はやや困難です。交尾は午前中に行われ、メスは単独で水面上2~3cmのヨシの組織内に産卵します。幼虫(ヤゴ)のまま越冬し、約10ヶ月で成虫になります。
 生息地が沿岸河口地域に集中しているため、つねに水質汚染と河川改修の脅威にさらされています。すでに数カ所の産地では絶滅しており、残りの産地でもいつ絶滅に追いやられても不思議ではない状態が続いています。 なお、北限分布域である東北地方太平洋沿岸では、東日本大震災の津波被害により北限生息地の北上川を除いて壊滅状態となっています。

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