いきものログ

シロウマヤリカツギ

蘚綱   センボンゴケ目   ヤリカツギ科
シロウマヤリカツギ Encalypta alpina Sm.
分布
本州
中国・シベリア・ヨーロッパ・北アメリカ
ランク
絶滅危惧I類(CR+EN)
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 シロウマヤリカツギは、中国、シベリア、ヨーロッパ、北アメリカなどの北半球北部に分布します。日本では本州中部地方に分布し、高山帯の山頂付近にあるハイマツ帯の岩場、特に岩隙の土壌に生育します。
 ヤリカツギ科は蘚類に属するコケで、日本にはヤリカツギ属1属4種が分布します。いずれも形態は似ていますが、シロウマヤリカツギは先端に向かって尖る広披針形の葉を持つことが特徴です。葉は乾燥するとねじれ、葉縁の上部は内曲します。中肋は褐色で、葉の先端から短く突き出ます。中肋の背中側の表面にはパピラ(乳頭:細胞の表面にある突起)が見られます。葉身細胞は六角形~横長の六角形で、長さ10~12μm、C形のパピラを数個持ちます。蘚帽はさくの基部まで長く垂れ下がり、さく歯は見られません。また、胞子の表面にも小さなパピラが見られます。
 シロウマヤリカツギは最初、白馬岳で絶滅危惧II類(VU)のハリエゾネジレゴケと混生しているのが見つかりました。現在では、山梨県北岳でも確認されていますが、どちらの自生地でも登山客の増加による踏みつけが原因で減少しています。
 ヤリカツギ属のコケは、本種を含む3種が絶滅危惧種に指定されています。シナノセンボンゴケ(セイタカヤリカツギ)は自生地である石灰岩の採掘や、森林伐採による環境変化により減少し、ミヤマヤリカツギは観光開発や登山者の踏みつけにより減少しています。これらの2種も共に絶滅危惧I類(CR+EN)に指定され、本種と同様に絶滅の危険度が高い状態にあります。
 これらの高山のコケ植物を保護するには、登山道整備などの環境保全対策がとられると共に、登山者に対して適切な情報提供がおこなわれることが必要です。

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