いきものログ

ヒダカソウ

双子葉類   離弁花類   キンポウゲ科
ヒダカソウ Callianthemum miyabeanum
分布
北海道
ランク
絶滅危惧IA類(CR)
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 ヒダカソウは北海道日高地方のアポイ岳や周辺の超塩基性岩(カンラン岩や蛇紋岩)地帯の草原にのみ特産する固有種です。高さ10~25cm、花は5~6月に直径2cmほどの白い花を咲かせます。近縁種はヒマラヤからシベリア、カラフト、朝鮮半島に分布します。日本では本州の南アルプス北岳に特産するキタダケソウ(絶滅危惧Ⅱ類、特定第一種国内希少野生動植物種)が唯一同属の近縁種です。この種も石灰岩地帯の高山草原にのみ分布しています。
 これらの種は、寒冷な気候の草地に生育すること、多くの植物が生育できない強いアルカリ性の土壌で生育することが特徴です。ヒダカソウの仲間がたどってきた永い歴史の中で、日本においてはきわめて限られたこの地域に生育場所を見つけたのです。
 近年、ヒダカソウは2つの原因で危機的状況に追い込まれています。一つは地球温暖化です。環境省の地球温暖化の影響と適応に関する調査では、地球温暖化の影響でハイマツの群落がより高い標高域に拡大し、このために高山草地の植物が減少傾向にあることが確認されました。限られた高山地帯以外に生きる場所をもたないヒダカソウにとって、温暖化によるハイマツ帯の上昇は絶滅をもたらす大きな脅威なのです。
 もう一つは人による採取です。その可憐な姿のため園芸的採取が行われ、かつては山で採られた個体が園芸店に並ぶほどでした。北海道ではヒダカソウの採取を禁止するとともに、「特定希少野生動植物事業者」を登録して、違法品の販売・流通を抑制する対策がとられています。
 なお、2014年に出版されたレッドデータブックの事前調査では、確実な自生地は確認できていません。
 ヒダカソウがたどってきたであろう永い道のりや、生育地の特性に思いを馳せることのできる人は、いくら花好きでもこれが手元に置いてはいけない花であることを納得できると思います。また、ヒダカソウのおかれた現状を知ることは、実感しにくい地球温暖化の理解につながるのではないでしょうか。

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