いきものログ

フジバカマ

被子植物   双子葉類   合弁花類   キク科
フジバカマ Eupatorium japonicum
分布
本州(福島県以南)・四国・九州
中国・朝鮮半島(栽培)・ベトナム(栽培)
ランク
準絶滅危惧(NT)
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 フジバカマは秋の七草のひとつです。「万葉集」のなかで山上憶良に詠われたほか、「源氏物語」や「徒然草」などにも登場するため、昔はごく普通に見られた野草であったと想像できます。
 生育地は低地の川沿いの氾濫原などの草地に多く、このような場所は、しばしば洪水に襲われますが、土壌は水分に富み、肥沃な場所が多いことが特徴です。氾濫原は人々の生活環境と近い関係にもあります。護岸工事や河川改修は人々に洪水への不安をなくす一方で、氾濫原への肥沃な土壌の供給をなくし乾燥化と、ススキやセイタカアワダチソウなどの荒地好きの植物の侵入を招き、フジバカマの生育地を奪う結果になりました。
 兵庫県の加古川の自生地には多くの個体が生育していましたが、生育環境の変化によりその個体数を減らしました。そこで、兵庫県立人と自然の博物館ではその種子をもとに苗を育てています。「大量の種子の保存のために博物館で栽培すること」「加古川に戻すこと」「環境教育の教材として利用すること」を目的として保全・復元活動が行われました。また地元の企業もフジバカマの保護活動に取り組んでいます。
 8月から10月にピンク色のつぼみをつけ、咲くと白っぽくなります。高さ1~1.5mになり草地に群がって生えることが多い多年草です。乾燥すると良い香りが発生するため、古くから香水や浴用に利用されてきました。

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