評価分科会名: 鳥類分科会
1. 判定対象種情報
| ⽬名 | ペリカン目 | 科名 | サギ科 |
|---|---|---|---|
| Order | Pelecaniformes | Family | Ardeidae |
| 和名 | ササゴイ | ||
| 学名 | Butorides striata amurensis (Schrenck, 1860) | ||
2. カテゴリー判定: 絶滅危惧Ⅱ類(VU) 判定基準: A2
| 基準A: VU | 基準B: ― | 基準C: ― | 基準D: ― | 基準E: ― |
A2.過去10年間もしくは3世代のどちらか長い期間を通じて、30%以上の減少があったと推定され、その原因がなくなっていない、理解されていない、あるいは可逆的でない。 【比較年】 10年(世代時間不明) 【過去の状況】 過去から比較できる情報としては、全国鳥類繁殖分布調査のデータがあり、1997-2002年に行なわれた調査の記録メッシュ数(88)、現地調査での記録コース数(45)、記録個体数(102)がある。そのうちここでは主に同一コースで実施されているために単純比較が可能で集団繁殖地等での多数個体の記録の有無などの影響も受けにくい、現地調査での記録コース数で評価した。 【近年の状況】 全国鳥類繁殖分布調査の2016-2021年に行なわれた調査では、記録メッシュ数(77)、現地調査での記録コース数(20)、記録個体数(35)のいずれも1997-2002年の結果より減少していた。記録コース数の減少率は56%だったが、調査間隔は10年より長いこと、メッシュ数でみると、記録コース数と比較して減少率は低い(12.5%)こと、都市公園等で、新たに分布し、増加している場所もあることなどから、総合的に判断して、30%以上の減少とした。
3. 概要
ササゴイは日本にはおもに夏鳥として渡来し、本州以南に分布する。河川などで小魚を捕食し、社寺林等の緑地で繁殖する。1970年代以降継続した減少が認められている。
4. 掲載種の情報
基礎情報
【形態】
全長520 mm、翼長194-214 mm、尾長75-78.5 mm、嘴峰長63-69 mm、ふ蹠長50-56 mm、体重135-300 g。
雌雄ほぼ同色。額から頭頂部、後頭は青みがかった濃い灰色で、冠羽が長く伸びる。興奮したときなどに冠羽を立てることがある。腹部全体は薄い灰色で、喉から下腹部にかけて縦縞がある。雨覆と風切の色は青みがかった濃い灰色だが、羽に白い縁があり、笹の葉のように見えることから「ササゴイ」の名があるとされる。虹彩は暗い黄色。嘴は黒色。足の色はオリーブ色または黄色だが、繁殖期の初期に、脚や、目先の皮膚が露出した部分が赤くなる個体がいる。幼鳥は全体的に黒っぽく、胸には縦斑がはいり、雨覆や風切の先端に白斑が入るなど、ゴイサギの幼鳥に似るが、ササゴイは体がより小さく、虹彩が黄色く、翼に出る白斑は羽縁全体に細くのび、笹模様に近い。
【生活史】
日本には主に夏鳥として渡来し、一部越冬するものもおり、薩南諸島以南では冬鳥。一夫一妻で単独で繁殖するものから、2~5巣程度の小規模なコロニーをつくるもの、さらには10巣をこえるコロニーを形成するものまで様々である。西日本ではクスノキなどの常緑樹、東日本では落葉樹や針葉樹などさまざまな樹種に営巣する。営巣はほぼ樹上であるが、テレビアンテナを使用した例もある。小枝を組み合わせて雑な皿型の巣をつくる。一腹卵数は3~6個。綺麗な淡青色の長径38~43 mm、短径29~31 mm、重さは平均20.13 gの卵である。抱卵期間は21~23日。抱卵は雌雄ともに行う。孵化後約2週間でヒナは枝移りをはじめる。およそ20日~30日で親鳥と同程度の大きさにまで成長し、巣立ちする。繁殖失敗の主な原因は、ハシブトガラスなどによる卵やヒナの捕食等の撹乱であり、失敗後は直ちに繁殖をやり直す。主に小魚やアメリカザリガニなどの甲殻類を食べる。鳥の羽根や葉っぱ、木の実、小枝、パンくずなどを水面に浮かべ、その影を、餌だと勘違いしてやってきた魚をすばやく捕えるルアーフィッシングを行うのが有名である。
【生息・生育環境】
河川で観察されることが多いが、公園の池や堀、水田、湖沼畔、アシ原などの流れのゆるいところや止水域でも見られる。営巣地は街路樹や公園緑地、社寺林、屋敷林、河畔林、海岸林など小~中規模の緑地や樹林で、河川や農業用水路など、安定した水場が近くにある場所が選ばれることが多い。
| 生息・生育環境区分 | 【陸域_平地部 海岸部】森林,田地・畑地,市街緑地,河川中流域,河川下流域,小河川,ため池・池沼,潟・湖・ダム湖 |
|---|---|
| 国土地域区分 | (2)里地里山・田園地域,(4)河川・湿地地域 |
【分布域】
おもに本州以南に夏鳥として渡来し、一部で越冬する。薩南諸島以南では冬鳥。北海道は道南で記録が増えてきている。国外はウラジオストク周辺などロシアの一部地域にも渡来する。
現在の生息・生育状況
【分布域の現況】
分布域については大きな変化はないが、その中で個体数は減少傾向にあると考えられている。全国鳥類繁殖分布調査の結果では、記録メッシュ数が1970年代の92メッシュ、1990年代の88メッシュ、2010年代の77メッシュと徐々に減少しており、同じ場所で調査できた調査コースでも1990年代の45コースから2010年代の20コースに減少している。また全国鳥類越冬分布調査の結果でも、記録されたメッシュ数が31メッシュから13メッシュに減少していた。
【生息・生育地の現況】
主な生息地である河川の中流部は河川改修等により変化している場所がある。営巣地である社寺林や街路樹は成長して良好な場所もあるが、剪定などで営巣できなくなっている場所もある。
【個体数の現況】
全国鳥類繁殖分布調査の比較可能な調査コースで記録された個体数は1990年代の102羽から2010年代の35羽に減少している。
存続を脅かす要因
ササゴイと同様の場所で採食するコサギやゴイサギなども減少しており、河川改修等による採食環境の悪化、大型のサギ類の増加に伴う競争、コクチバスなどの外来種による食物の減少が考えられる。営巣場所では、糞害などによる追い払い、街路樹の剪定などでの営巣場所の減少がある。またカラス類の増加による捕食圧の増加もある。
| 要因の区分 | (過去) | 湖沼開発,河川開発,土地造成,競争/競合(外来種による),競争/競合(在来種による) |
|---|---|---|
| (現在) | 湖沼開発,河川開発,土地造成,捕食(在来種による),競争/競合(外来種による),競争/競合(在来種による) |
特記事項
特になし
旧レッドリストカテゴリーと掲載名
| 第4次 2020 | ― | ― | ― |
| 第4次 2019 | ― | ― | ― |
| 第4次 2018 | ― | ― | ― |
| 第4次 2017 | ― | ― | ― |
| 第4次 2015 | ― | ― | ― |
| 第4次 | ― | ― | ― |
| 第3次 | ― | ― | ― |
| 第2次 | ― | ― | ― |
| 第1次 | ― | ― | ― |
都道府県レッドリストデータブック掲載状況(令和6年度末時点)
【岩手県】留意,【秋田県】準絶滅危惧(NT),【山形県】準絶滅危惧(NT),【福島県】準絶滅危惧(NT),【茨城県】絶滅危惧ⅠB類,【群馬県】準絶滅危惧(NT),【埼玉県】絶滅危惧ⅠB類(EN)(繁),【東京都(本土部)】絶滅危惧Ⅱ類(VU),【東京都(区部)】絶滅危惧ⅠA類(CR),【東京都(北多摩)】絶滅危惧ⅠA類(CR),【東京都(南多摩)】絶滅危惧Ⅱ類(VU),【東京都(西多摩)】絶滅危惧Ⅱ類(VU),【東京都(伊豆諸島)】絶滅危惧Ⅱ類(VU),【神奈川県】絶滅危惧Ⅱ類(繁殖期),【新潟県】準絶滅危惧(NT),【富山県】絶滅危惧Ⅱ類(VU),【石川県】準絶滅危惧(NT),【福井県】県域絶滅危惧Ⅱ類,【長野県】絶滅危惧Ⅱ類(VU),【静岡県】絶滅危惧ⅠB類(EN),【三重県】絶滅危惧ⅠA類(CR),【滋賀県】希少種,【京都府】絶滅危惧種,【兵庫県】Cランク,【奈良県】情報不足種,【和歌山県】絶滅危惧Ⅱ類(VU),【鳥取県】絶滅危惧Ⅱ類(VU),【島根県】情報不足(DD),【岡山県】準絶滅危惧,【広島県】準絶滅危惧(NT),【山口県】準絶滅危惧(NT),【徳島県】準絶滅危惧(NT),【香川県】準絶滅危惧(NT),【愛媛県】準絶滅危惧(NT),【高知県】絶滅危惧Ⅱ類(VU),【福岡県】絶滅危惧Ⅱ類(VU),【佐賀県】絶滅危惧Ⅰ類種,【長崎県】準絶滅危惧(NT),【熊本県】絶滅危惧ⅠB類(EN),【宮崎県】準絶滅危惧(NT-g)
保護に係る法令指定状況(令和7年度末時点)
鳥獣保護管理法
5. 参考⽂献
三上かつら,2014.生態図鑑 ササゴイ.バードリサーチニュース,11(7): 4-5. 植田睦之・奴賀俊光・山﨑優佑,2023.全国鳥類越冬分布調査報告 2016-2022年.pp. 170.特定非営利活動法人 バードリサーチ・公益財団法人 日本野鳥の会,東京. 植田睦之・植村慎吾,2021.自然環境保全基礎調査 全国鳥類繁殖分布調査報告 日本の鳥の今を描こう 2016-2021年.176pp. 鳥類繁殖分布調査会,東京.
6. アセスメントサマリー(Assessment summary)
Butorides striata amurensis has been assessed for threatened wildlife of Japan Red List 5th edition. Butorides striata amurensis is listed as VU under criteria A2.
A. Reduction in population size based on any of the following: 2. An observed, estimated, inferred or suspected population size reduction of ≥30% over the last 10 years or three generations, whichever is the longer, where the reduction or its causes may not have ceased OR may not be understood OR may not be reversible.
| Habitat types | 【Terrestrial/Freshwater area_Plain, Beach】Forest, Farmland, Urban green area, Middle river basin, Lower river basin, Small river, Reservoir/Pond, Lagoon/Lake/Dam |
|---|---|
| Threat types | Lake development, River development, Land development, Predation (by native species), Competition (with alien species), Competition (with native species) |
| Law designation status for conservation | Wildlife Protection, Control, and Hunting Management Act. |
| 執筆者: | 植田睦之(バードリサーチ) |
| Author: | Mutsuyuki Ueta |
| 協力者: |
公開年月:2026年3月
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