評価分科会名: 鳥類分科会
1. 判定対象種情報 日本固有
| ⽬名 | スズメ目 | 科名 | カラス科 |
|---|---|---|---|
| Order | Passeriformes | Family | Corvidae |
| 和名 | オナガ | ||
| 学名 | Cyanopica cyanus japonica Parrot, 1905 | ||
2. カテゴリー判定: 準絶滅危惧(NT) 判定基準: ①
| 基準A: VU未満 | 基準B: ― | 基準C: ― | 基準D: ― | 基準E: ― |
生息状況の推移から見て、種の存続への圧迫が強まっていると判断されるもの。 具体的には、分布域の一部において、次の傾向が顕著であり、今後さらに進行するおそれがあるもの。 ①個体数が減少している。 【判断理由】 東京都鳥類繁殖分布調査では32%の減少が示されており、また、全国鳥類繁殖分布調査でも、記録コース数で49%、個体数で71%の減少が示されている。また、モニタリングサイト1000里地調査でも2008-2022年の減少率が-14.1%/年と推定されている。現時点で減少要因は不明であり、今後も減少が継続するおそれがある。
3. 概要
オナガは東北地方から中部地方にかけて分布し、林や低木林が散在する開けた環境に分布する種である。住宅地などにも生息する種だが、複数の調査で分布の縮小や個体数の減少が確認されている。
4. 掲載種の情報
基礎情報
【形態】
全長319-390 mm、翼長122-141 mm、尾長192-240 mm、嘴峰長24-30 mm、ふ蹠長32-35 mm、体重69-96 g。
雌雄同色で、雄はやや大型である。頭部は黒色の帽子状。背は灰色。喉、胸、腹は白色あるいは灰白色。翼と尾は淡青色から青灰色。風切内弁は黒色で外弁は淡青色。初列風切外弁の先半分は白色。中央尾羽先端に長さ約2 cmの白斑がある。嘴と脚は黒色。虹彩は暗褐色。
【生活史】
日本では留鳥として生息し、非繁殖期も繁殖期も基本的に群れで生活し、周年群れなわばりを持っている。繁殖は基本的に一夫一妻であり、繁殖の手伝いを行う個体(ヘルパー)がいることがあり、造巣、雌やヒナへの給餌、捕食者への攻撃を行なう。
多様な樹木の高さ1~13 mの枝の又や若枝が密生した場所に造巣する。巣の大きさは外径30×25 cm、厚さ13 cm。巣は単独に近いものもあるが、互いに集まって営巣する傾向があり、ルースコロニアルである。ツミの巣の周りに集団営巣することもある。
卵は長径26.4 mm、短径19.8 mmで、淡褐色あるいは淡緑灰色の地に暗褐色と灰色の小斑点が鈍端を中心に多数散在する。一腹卵数は3~8卵、平均5.8卵で5月中旬~8月中旬に産卵し抱卵期間は15日、孵化後17~18日で巣立つ。卵やヒナの捕食者は、ハシブトガラス、アオダイショウ、ネコなどで、カッコウ類による托卵される地域もある。
雑食性で、動物では昆虫、クモ、両生類。植物では樹木や草本の果実や種子を主に食べる。
【生息・生育環境】
林や低木林が散在する開けた環境や川辺の林に生息し、高原の別荘や農耕地、山地の川沿いの集落など人為的に切り開いた環境にも生息する。また、住宅地や市街地の緑地や公園などでも生息する。
| 生息・生育環境区分 | 【陸域_低標高地】森林,田地・畑地,河川中流域 【陸域_平地部】森林,田地・畑地,住宅地,市街緑地,河川中流域 |
|---|---|
| 国土地域区分 | (2)里地里山・田園地域,(3)都市地域 |
【分布域】
福井県、岐阜県、愛知県以東、青森県までの東日本に分布する。九州北部では 1960 年代まで生息し、西日本各地でも記録がある。なお、種オナガは、日本、朝鮮半島、中国北東部、アムール川流域の極東アジアとヨーロッパ西端のイベリア半島に隔離分布する。
現在の生息・生育状況
【分布域の現況】
1960年代以降、長野県で分布の急激な拡大がみられるなど、1960年代、1970年代には、特に西方向に分布を拡大する傾向があった。しかし、1970年代、1990年代、2010年代に実施された全国鳥類繁殖分布調査では、年々分布が縮小していることが示されており、分布拡大傾向は止まり、逆に縮小している。こうした分布の縮小は、拡大したものが、このように分布が以前に戻っただけではなく、もともと主要な分布域だった関東などでも分布の縮小や個体数の減少が起きている。東京都繁殖分布調査、モニタリングサイト1000の里地調査など、別の場所、方法で実施された調査でも減少が示されており、全体的に減少しているものと考えられる。
【生息・生育地の現況】
林や低木林が散在する開けた環境に生息する。都市近郊では農地や雑木林が住宅地や駐車場などに改変され、生息環境が悪化しているが、全体的には大きな悪化はないと思われ、減少の原因は不明である。
【個体数の現況】
全国鳥類繁殖分布調査の現地調査で記録された羽数が1990年代の342羽から99羽、東京都鳥類繁殖分布調査の結果では448羽から303羽、モニタリングサイト1000里地調査では、2008-2022年に年あたり14.1%の減少と、異なる調査いずれもで、個体数の減少が示されている。
ただし、都心部のように、これまではわずかしか生息していなかったが、おそらく街路樹等の生長によって新たに生息するようになった場所もある。
存続を脅かす要因
地域によっては、生息地の改変や、ハシブトガラスなどの捕食者による繁殖成績の低下などが考えられるが、減少の原因はよくわかっていない。
| 要因の区分 | (過去) | 不明 |
|---|---|---|
| (現在) | 不明 |
特記事項
特になし
旧レッドリストカテゴリーと掲載名
| 第4次 2020 | ― | ― | ― |
| 第4次 2019 | ― | ― | ― |
| 第4次 2018 | ― | ― | ― |
| 第4次 2017 | ― | ― | ― |
| 第4次 2015 | ― | ― | ― |
| 第4次 | ― | ― | ― |
| 第3次 | ― | ― | ― |
| 第2次 | ― | ― | ― |
| 第1次 | ― | ― | ― |
都道府県レッドリストデータブック掲載状況(令和6年度末時点)
【群馬県】準絶滅危惧(NT),【東京都(本土部)】準絶滅危惧(NT),【東京都(区部)】準絶滅危惧(NT),【東京都(北多摩)】準絶滅危惧(NT),【東京都(南多摩)】準絶滅危惧(NT),【東京都(西多摩)】準絶滅危惧(NT),【福井県】要注目,【兵庫県】絶滅,【福岡県】絶滅(EX),【佐賀県】絶滅種,【熊本県】絶滅(EX)
保護に係る法令指定状況(令和7年度末時点)
鳥獣保護管理法
5. 参考⽂献
原田俊司,2009.生態図鑑 オナガ.バードリサーチニュース,6(6): 2-3. 環境省自然環境局生物多様性センター,2024.重要生態系監視地域モニタリング推進事業 (モニタリングサイト1000) 里地調査 2005-2022年度とりまとめ報告書.環境省自然環境局生物多様性センター,富士吉田. 植田睦之・佐藤望,2021.東京都鳥類繁殖分布調査報告 2016-2021.特定非営利法人 バードリサーチ,府中.177pp. 植田睦之・植村慎吾,2021.自然環境保全基礎調査 全国鳥類繁殖分布調査報告 日本の鳥の今を描こう 2016-2021年.176pp. 鳥類繁殖分布調査会,東京.
6. アセスメントサマリー(Assessment summary)
Cyanopica cyanus japonica has been assessed for threatened wildlife of Japan Red List 5th edition. Cyanopica cyanus japonica is listed as NT under criteria ①.
The species that is considered to be under increasing pressure for survival, as indicated by habitat status trends, specifically with the following notable tendencies in parts of its distribution that are likely to continue. ①The number of individuals is decreasing.
| Habitat types | 【Terrestrial/Freshwater area_Low-altitude area】Forest, Farmland, Middle river basin 【Terrestrial/Freshwater area_Plain】Forest, Farmland, Residential area, Urban green area, Middle river basin |
|---|---|
| Threat types | Unknown |
| Law designation status for conservation | Wildlife Protection, Control, and Hunting Management Act. |
| 執筆者: | 植田睦之(バードリサーチ) |
| Author: | Mutsuyuki Ueta |
| 協力者: |
公開年月:2026年3月
©内田博