評価分科会名: 鳥類分科会
1. 判定対象種情報
| ⽬名 | スズメ目 | 科名 | セキレイ科 |
|---|---|---|---|
| Order | Passeriformes | Family | Motacillidae |
| 和名 | ビンズイ | ||
| 学名 | Anthus hodgsoni hodgsoni Richmond, 1907 | ||
2. カテゴリー判定: 準絶滅危惧(NT) 判定基準: ①
| 基準A: VU未満 | 基準B: ― | 基準C: ― | 基準D: ― | 基準E: ― |
生息状況の推移から見て、種の存続への圧迫が強まっていると判断されるもの。 具体的には、分布域の一部において、次の傾向が顕著であり、今後さらに進行するおそれがあるもの。 ①個体数が減少している。 【判断理由】 1990年代と2010年代に実施された全国鳥類繁殖分布調査によれば、個体数が40%の減少率で減少している。ただし、同調査による確認メッシュ数での比較では26%の減少率であること、分布の中心域より周辺部で減少していることから、総合的に考えると、現時点では、VUには該当しないと判断した。
3. 概要
ビンズイは本州、四国以北の寒冷な森林、草原で繁殖し、南東北以南で越冬する。1990年代以降、繁殖分布が縮小しており、特に標高の低い場所での減少が顕著だった。
4. 掲載種の情報
基礎情報
【形態】
全長147-163 mm、翼長77-87 mm、尾長26-64 mm、嘴峰長11-12 mm、ふ蹠長20-22 mm、体重16-30 g。
雌雄同色で、上面は緑褐色で、眉斑と耳羽にクリーム色の部分がある。下面はクリーム色で、黒い縦斑がある。
【生活史】
本州、四国以北の寒冷な森林、草原で繁殖し、関東以南では標高の高い場所に多い。冬期は南東北以南で越冬し、海岸のマツ林など低標高の場所にも多い。地上に草の茎などを使って8-13 cm程度の巣をつくり、20.5×15.4 mm程の卵を3-5卵産む。抱卵期間は12-13日で、孵化後10日程度で巣立つ。
【生息・生育環境】
寒冷な森林、草原で繁殖する。林床の開けた明るい林を好む。越冬期は海岸のマツ林など低標高の林床の開けた林に生息する。
| 生息・生育環境区分 | 【陸域_高標高地 中標高地 低標高地】裸地,森林,草地 【陸域_平地部 海岸部】森林 |
|---|---|
| 国土地域区分 | (1)奥山自然地域,(2)里地里山・田園地域 |
【分布域】
繁殖期は四国、本州以北に分布する。関東以西では比較的標高の高い場所に生息することが多い。越冬期は南東北以南に分布する。
現在の生息・生育状況
【分布域の現況】
1970年代、1990年代、2010年代に実施されている全国鳥類繁殖分布調査では、1970年代と1990年代を比較すると、198メッシュと202メッシュでほとんど変わりなかったが、2010年代には150メッシュと大きく減少していた。また、比較可能な現地調査の実施コースで比較しても、1168コースから99コースと大きく減少していた。特に記録されなくなった場所は標高の低い場所で多かった。また、北海道と比べると東北以南で見られなくなったコースの割合が高かった。越冬期の分布については、東北地方や中部地方の内陸部や日本海側の分布がやや広がっており、積雪の減少で分布が拡がっている可能性がある。
【生息・生育地の現況】
近年、森林にはシカの増加で下草がなくなってしまっている場所がある。ビンズイは下草の少ない明るい林を好むため、シカの摂食により、本種にとってはむしろ好適な生息地が創出されたと考えられている事例もある。
【個体数の現況】
全国鳥類繁殖分布調査の現地調査で記録された羽数は1990年代の736羽から415羽に減少していた。東京都鳥類繁殖分布調査の結果では7羽から11羽に増加していた。これは生息地の現況でも述べたように、シカの影響で植生が変わった場所で新たに記録されるようになったためだった。また、モニタリングサイト1000里地調査では、2008-2022年に年あたり-6.6%と減少が示されている。
存続を脅かす要因
関東以西では、もともと標高の高い場所に生息する傾向があり、2010年代の調査では標高の低い生息地あるいは、北海道よりも東北以南で見られなくなった場所が多いように南で生息が確認されなくなった場所が多かった。これは気候変動の影響をうけている可能性が考えられた。
| 要因の区分 | (過去) | 不明 |
|---|---|---|
| (現在) | 気候変動,不明 |
特記事項
特になし
旧レッドリストカテゴリーと掲載名
| 第4次 2020 | ― | ― | ― |
| 第4次 2019 | ― | ― | ― |
| 第4次 2018 | ― | ― | ― |
| 第4次 2017 | ― | ― | ― |
| 第4次 2015 | ― | ― | ― |
| 第4次 | ― | ― | ― |
| 第3次 | ― | ― | ― |
| 第2次 | ― | ― | ― |
| 第1次 | ― | ― | ― |
都道府県レッドリストデータブック掲載状況(令和6年度末時点)
【群馬県】準絶滅危惧(NT),【神奈川県】絶滅危惧Ⅱ類(繁殖期),【愛知県】絶滅(EX)(繁殖),絶滅危惧Ⅱ類(VU)(越冬),【奈良県】希少種,【鳥取県】準絶滅危惧(NT),【愛媛県】絶滅危惧Ⅱ類(VU),【高知県】準絶滅危惧(NT),【熊本県】絶滅のおそれのある地域個体群(LP)
保護に係る法令指定状況(令和7年度末時点)
鳥獣保護管理法
5. 参考⽂献
長谷川新平,1975.繁殖を低める托卵<ビンズイ>.羽田健三(監),野鳥の生活,pp. 129-133.築地書館,東京. 環境省自然環境局生物多様性センター,2024.重要生態系監視地域モニタリング推進事業 (モニタリングサイト1000) 里地調査 2005-2022年度とりまとめ報告書.153pp. 環境省自然環境局生物多様性センター,富士吉田. 清棲幸保,1979.増補改訂版日本鳥類大図鑑Ⅱ.講談社,東京. 植田睦之・植村慎吾,2021.自然環境保全基礎調査 全国鳥類繁殖分布調査報告 日本の鳥の今を描こう 2016-2021年.176pp. 鳥類繁殖分布調査会,東京.
6. アセスメントサマリー(Assessment summary)
Anthus hodgsoni hodgsoni has been assessed for threatened wildlife of Japan Red List 5th edition. Anthus hodgsoni hodgsoni is listed as NT under criteria ①.
The species that is considered to be under increasing pressure for survival, as indicated by habitat status trends, specifically with the following notable tendencies in parts of its distribution that are likely to continue. ①The number of individuals is decreasing.
| Habitat types | 【Terrestrial/Freshwater area_High-altitude area, Mid-altitude area, Low-altitude area】Bare area, Forest, Grassland 【Terrestrial/Freshwater area_Plain, Beach】Forest |
|---|---|
| Threat types | Climate change, Unknown |
| Law designation status for conservation | Wildlife Protection, Control, and Hunting Management Act. |
| 執筆者: | 植田睦之(バードリサーチ) |
| Author: | Mutsuyuki Ueta |
| 協力者: |
公開年月:2026年3月
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