いきものログ

クロイワゼミ

節足動物門   昆虫綱   カメムシ目   セミ科
クロイワゼミ Muda kuroiwae
分布
沖縄県(沖縄島・久米島)
ランク
絶滅危惧II類(VU)
map

 クロイワゼミは沖縄島と久米島のみに分布する、セミの仲間です。本種は、色彩や形態、生態的にも他の国内のセミ類とは大きく異なり、近似種や類縁種もなく非常に特異な存在であるといえます。「クロイワ」というのは、沖縄の動植物学者で国頭農学校校長でもあった黒岩恒氏によって最初の報告がなされたことによります。1913年に新種として発表されましたが、その後しばらく発見されず「幻のセミ」とされていました。しかし、1970年代にようやく再発見され、分布状況やその生態が徐々に明らかにされるようになりましが、いまだ不明な部分も多いのも事実です。
 大きさは18~23mm程度と、セミの中では非常に小型です。全身が鮮やかな黄緑色から緑色を帯びます。複眼は非常に大きく灰白色、翅は透明で緑色を帯び、翅脈も緑色です。沖縄島には全域に分布していますが、生息地は極めて局所的で狭く、その数は十数カ所に過ぎません。成虫の発生時期は5月末~7月中旬です。常緑広葉樹林の林内を好み、昼間は日陰の葉上にとまっていることが多いようですが、夕刻7時過ぎの30分ほどだけ細い枝にとまって「チュチュチュ・・・」と、可愛らしい鳴き声を発します。産卵はヤブニッケイやカゴノキなどの生きた枝の中に行われます。幼虫の生活史については、まだ不明です。
 クロイワゼミの生息地は平地の常緑広葉樹林内であることが多く、その多くが宅地や耕作地に隣接しています。このため人為的な影響を受けやすく、とくに近年は開発にともなう森林伐採により、生息地がさらに狭まったり、分断される傾向にあります。今後は、このような生息地一帯の自然環境を保存していくことが重要な課題となっています。

もどる